大分県宇佐市四日市にある十宝山大乗院(一鬼取)という真言宗のお寺にやってきました。全身そろった三本指のミイラが祀られています。大学の調査も行われました。
日本家屋の隣が本堂
長い階段を上がると日本家屋が建っています。こちらが十宝山大乗院(じっぽうざんだいじょういん)。ここのご住職がお住まいなのでしょうか。声をかけたのですが、どうやらお留守のようです。隣の本堂は開いていましたので拝観させていただくことに。
全身が完全な形で残ってるミイラ
鬼のミイラと言われるものは、全国各地にあります。鬼の子供のミイラや頭蓋骨など写真でご覧になったことがある方もいらっしゃるでしょう。でも十宝山大乗院の鬼はかなり大きく全身が完全な形で残っていてとても珍しいのです。
動物の死体から作られたものも多い
見世物や輸出用の土産ものとして、動物の死体をつなぎ合わせるなどして作られたミイラが多かったこともあると思います。大きいほど制作が難しくなりますから「鬼の体の一部分」や「子供の鬼」ということにしているのではないでしょうか。
正式に大学の調査が行われている
しかも十宝山大乗院の鬼のミイラが他のミイラと比べてすごいところは、正式に大学の調査が行われていることなんですよ! 人魚のミイラや河童のミイラと違って、鬼はご神体として崇められていることが多く、科学的な調査が行われることは極めて稀なんですね。
撮影禁止のため合成画像を作成
だけどどごめんなさい! ご神体だけあって写真撮影は禁止。代わりに以下は撮影が許可された新聞記事(1984年11/25 スポーツニッポン)の写真となります。実物をお見せできなくて残念です。
身長は約2メートル、三本指のミイラ
三本指の手を組んで体操座りをしています。高さは約1.5メートル。立ち上がると約2メートルでしょうか。目は落ちくぼんでいて口は笑っているかのように開いています。牙や角もしっかり確認できます。
調査の結果、女性の人骨であることが分かった
九州大学が60年前に学術的な調査を行った(※)結果、ミイラの骨は人骨、しかも女性であること。三本指の骨も作り物でなく骨自体が三本に分かれているとのこと。身長2メートル、三本指の女性の鬼……。目の前に座って拝むと背筋がゾクリとします。
恐ろしい鬼のたたり
実はこの鬼のミイラには恐ろしいいわれがあるのです。以前は代々ある名家の家宝とされていたのですが、ある理由で手放され、大正14年に大乗院の檀家が5,500円(現在の価格で5000万円以上)で購入したところ、家の主人が突然原因不明の病で倒れてしまいました。
現在は仏様として信仰されている
鬼のたたりを怖れて大乗院で供養を頼んだところ、たちまち病は癒えました。以後大乗院で大切に安置されています。興味本位で訪れてしまいましたが、大切に供養されている鬼のミイラを見て、今は仏様として地域の方々に親しまれているのだなと感じました。(2006年12月12日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
十宝山大乗院(じっぽうざんだいじょういん)鬼のミイラ
住所 :大分県宇佐市四日市3761
電話 :0978-33-2274(宇佐市観光協会)
時間 :09:00~16:00
駐車場:無料