愛知県知多郡武豊町の岡川寺(こうせんじ)には国内最大のカラフルな木造の弘法大師像があります。その大きさなんと3.6メートル。お堂いっぱいの巨大な空海像にびっくりしました。
読み方はたけとよ&こうせんじ
町名の武豊は競馬騎手の武豊(たけゆたか)さんと同じ字ですがたけとよと読みます。岡川もおかがわでらと読んでしまいそうになりますがこうせんじです。境内はよくあるタイプの普通のお寺なので見逃してしまいそうですが、太子堂の中は驚きの光景が広がっていました。
3.6メートルの巨大木造仏
大きさは一丈二尺(3.6メートル)。木造弘法大師の名前は恵當大弘法大師(えとおおこうぼうだいし)。同じ愛知県の金剛寺の記事でご紹介したのと同じ、平安時代の僧・空海の像です。
土木・建築・医学・教育の天才
仏教界のカリスマ・空海についてご紹介しておきましょう。日本各地の珍スポットめぐりをしていると、あちこちで弘法大師関連のスポットに出くわします。空海は土木・建築・医学・教育などあらゆる分野で万能の才能を発揮した天才であったので、日本全国に伝説が伝わっているからです。
日本各地に伝説を残す
井戸を掘ったり、橋をかけたり、病気を治したり、飢饉を救ったりと八面六臂の大活躍。あなたの住む町にも弘法大師の伝説が一つや二つはあるはず。そう言えば「いろはにほへと」のイロハ歌を作ったという説もありますね。
日本で密教を開花させた偉人
でも一番の偉業は日本で密教を開花させたこと。日本史で習った通り、日本に密教をもたらしたのは最澄で、こちらは天台宗(台密)。空海の真言宗(東密)と合わせて日本の二大密教と言われます。真言宗の奥義として即身成仏があり、これは生きながら悟りを開き仏になる(入定)ことです。
即身成仏と即身仏は違う
ここで注意しなくてはならないのは、即身仏と即身成仏は別であること。即身仏は断食修行の末、生きながら土中に埋もれてミイラとなることです。即身仏については岐阜の両界山横蔵寺の記事に詳しく書きましたのでご覧ください。
今も生き続ける空海
だから高野山においては「空海はまだ生きている」と信じられています。今でも毎日朝と昼に、食事が奥之院大師廟に進上(しんじょう)されているんですよ。毎回献立が変えられて、しかも温かいものが用意されています。承和2年(835)空海が62歳の時からずっとですよ。空海は世界一長生きの人なんですね。アンビリーバボー。
後ろ側も忘れずにチェック
おっと、つい空海のことばかり話してしまいました。大師像の後ろ側にまわってみましょう。背中がぽっかりあいて、体内仏がおさめられています。
クラシックコンサートも行われた
岡川寺の大師像はカラフルに塗られていることもあって、超人・偉人・天才といったイメージよりは、おおらかで温かいお父さんといった印象。ここでクラシックの演奏会が行われたこともあったそうですが、あらゆることに才能を発揮した空海なら、きっと西洋の音楽も楽しんだのではないでしょうか。(2008年06月29日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
岡川寺(こうせんじ)
住所 :愛知県知多郡武豊町大字冨貴字寺東13
電話 :0569-72-3832
時間 :08:00~18:00
休業日:年中無休
駐車場:無料(30台)