徳島の第十七番札所・井戸寺。水面に自分の顔が映れば無病息災、映らない場合は3年以内に死ぬとも、厄災が訪れるとも言われるちょっと怖い言い伝えのある井戸があります。
お遍路さんもたくさんお参り
私が訪れた時にも、白装束のお遍路さんがたくさん井戸寺にお参りしていました。もともと673年創建の妙照寺が先のお寺だったそうで大変長い歴史を持つのですが、こちらの本堂は昭和43年に再建されたコンクリート造り。以前の本堂は火事で消失してしまったそうです。
弘法大師が一夜で作った井戸
弘法大師がこの地を訪れた時のエピソードです。このあたりの水が濁っていることを憂えた弘法大師は、錫杖で井戸を一夜で掘ってしまったといいます。そこから清水がこんこんと湧き出し「大師一夜建立の井戸」として有名になりました。
空海の超人的な治水・土木工事
井戸寺の名前はここから名付けられたんですね。弘法大師には、治水・土木工事にまつわる伝説が数多く残されています。そのほとんどが、一夜にして井戸を掘ったとか、錫杖で地面をつついただけで水がわき出したとか、一晩で橋をかけた、一人で川をせき止めたなど超人的な偉業として語られています。
1000年以上も続く大師信仰
さすが超人空海。唐で学んだ最新式の治水・土木技術を身に着けていたとも言えますし、大師信仰をより強化するための威光効果で、話が大きく語られているとも言えます。いずれにしても現代でも数多くの方が1000年以上前に存在していた空海を信仰し、弘法大師ゆかりのお寺を訪れているという事実に圧倒されますね。歴史の重みを感じます。
面影の井戸はこちら
他にも弘法大師が作ったと言われる井戸は四国にいくつかありまして、三番金泉寺の黄金の井戸、三十九番延光寺の眼洗いの井戸があります。さて、これが弘法大師が錫杖で掘ったという面影(おもかげ)の井戸です。想像していたよりもそっけない感じのシンプルな井戸。
ビクビクしながら井戸を覗く
水に何も映らないなんてありえない、でももし顔が映らなかったらどうしよ……と半分ビクビクしながら覗きこんでみました。無病息災か、それとも3年以内に死ぬのか?
物理的には当たり前だけど
はあ、良かった。ちゃんと私の顔が水に映っていました。光の原理から言って顔に光が当たり、その光の一部が水面に反射して顔が映って見えるのだから当然なのだけど。
でもだからといって、真っ暗闇の夜中に井戸を覗きこんで「ほらね、光の反射がないから顔が映んない。物理的に当たり前だよね」なんて言う気にはとてもなりません。怖いじゃん。それが人間心理ってもん。
御加持水もご一緒にどうぞ
井戸の横には、1個百円の御加持水が置かれていました。私もいただいて飲んでみましたよ。無味無臭。病気になりませんようにと手を合わせました。
心のアカを落としましょう
井戸寺の御詠歌(仏教の教えを五・七・五・七・七の和歌にしたもの)は「面影を 映して見れば 井戸の水 むすべば胸の あかや落ちなん」と言います。私も井戸を除いて心のアカをさっくり落とし、四国の旅を続けました。(2009年05月03日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
井戸寺(いどじ)
住所 :徳島県徳島市国府町井戸北屋敷80-1
電話 :088-642-1324
時間 :07:30〜17:00
駐車場:無料
関連URL:四国八十八ヶ所霊場公式ホームページ:第17番札所 瑠璃山 真福院 井戸寺