福来友吉博士。透視・念写などの超能力研究で知られる異端の学者です。福来博士の出身地・岐阜県高山市には明治時代に巻き起こった超能力論争に関する福来博士記念館があるんですよ。
想像よりも小さかった
子供の頃からいつかきっと訪れようぞと思っていたスポットですからワクワクしっぱなし。でもオシャレな和風喫茶店に隣接している小さな建物を見て、想像とかなり違っていました。
パネルで博士の偉業を紹介
館内は一部屋のみ。福来博士の銅像と直筆の論文など以外はパネル展示中心です。高校の文化祭みたいな感じ。この記念館の設立は昭和31年。福来博士をたたえるために田中久雄氏、山本健造氏が開館に尽力しました。
『リング』のモデルとして知られる御船千鶴子
福来博士(1869~1952)。御船千鶴子、長尾郁子、三田光一などの超能力者研究に没頭したものの、学者から非難を受けて東京帝国大学去った学者です。御船千鶴子はホラー小説・映画『リング』の貞子のモデルとして知られています。
千里眼事件とは何か
明治時代末期に起こった千里眼事件で福来博士は時の人となりました。超能力の実在を証明するために、何度も公開実験を繰り返しました。学会だけでなく一般社会でも侃々諤々の大論争を巻き起こしました。
千里眼ブームの終焉
1911年に御船千鶴子が自殺し、長尾郁子が病死したことで超能力研究は下火に。雨後の竹の子のように現れた超能力者も単なる手品であることが暴露され、千里眼ブームは終止符を打たれました。その後福来博士は帝大を辞職。これが千里眼事件のあらましです。
憤りを感じた小学生時代
私が小学生の時、三田光一の月の裏側を念写した写真や御船千鶴子の経歴、福来博士の偉業を読み、超能力に懐疑的な学者に憤りを感じました。理解されずに帝大を追い出された福来博士はなんて気の毒なんだろう──と。
これでは科学的とは言えない
でも大人になった現在、福来博士の公開実験に関する資料を読んで、このやり方ではとても科学的であるとは言えないし、他の学者たちが批判したのももっともであると思うようになりました。
どんな点がまずいのか
御船千鶴子は精神統一のために、一人別室に籠もって透視を行っていたこと、月の裏側の念写写真は本物と比べても一致しない部分が多いこと、福来博士の公開実験は成功しても、他の者が追試験したら上手くいかなかったこと、全ての念写写真はトリックで再現可能なこと……。
福来博士は私のヒーローだけれど……
もちろん私は超能力を否定しているわけではありません。超能力研究のパイオニアである福来博士は今でも私のヒーローです。でも科学的な検証をするためには公正な実験をくり返し、データを収集し、検証する必要があるのです。
透視、念写は本物か?
学者は情熱がなくては生涯を研究にささげることはできません、しかしかくあれかしという希望が上回りすぎてしまうと視野が狭くなってしまうでしょう。はたして透視、念写は本物か? あなたはどう思いますか?(2007年10月20日訪問)【麻理】
参考文献
地図&情報
福来博士記念館(ふくらいはかせきねんかん)
住所 :岐阜県高山市堀端町8 城山公園照蓮寺境内
電話 :0577-32-2052
時間 :08:00~18:00(04~10月)8:30~17:00(11~03月)※時間不定
休館日:不定休
入館料:200円(照蓮寺共通)
駐車場:無料(3台)
関連URL:飛騨福来心理学研究所