10人の男の娘(?)が踊る、お札争奪合戦「お札まき」【神奈川】

お札まき 八坂神社
毎年7月に横浜市戸塚区で行われるお札まき。女装の男性が御札をまくという、見る人に衝撃・動揺・興奮を与える奇祭です。お札争奪合戦はまさにゾンビ映画そのもので迫力があります。

こんなベタな女装見たことない

お札まき 八坂神社
出た! 今時こんな派手な柄、娘ッコでも着なさそうという着物を身にまとい、顔にべったりとおしろいをつけています。10人の女装男性──いや今時でいうと男の娘かな。ちょっと年齢高めだけど。その真ん中には音頭取りの姐さん。彼女はボテカズラを被って、頬に真っ赤な紅をさしています。

最高気温34度、異様な熱気に包まれる境内

お札まき 八坂神社
この日、横浜の最高気温は34度。ただでさえ不快指数100%の蒸し暑さなのに、さらに温度上昇を生むかのような光景です。続々と八坂神社に集まる群衆の目は期待感に輝き、境内は異様な熱気に包まれております。道路には露天が立ち並び神社にたどり着くのも一苦労です。

ボテカズラの姐さんの唄に合わせて踊り始める

ボテカズラ姐さんが歌い始めました。彼女の音頭に合わせて、他の娘ッコたちも手拍子しながら踊り始めます。歌詞がよく聞き取れなかったのですが「蜂にチンチン刺されて、痛いとも言わず……」って言ってる? どうも放送禁止用語も言ってるっぽいよ。猥歌?

お札を取らんと老若男女は目をギラギラ

この後がメインのお札まきです。中央の姐さんがお札をばらまくのが見ものです。お札を拾った人は1年間神が守ってくれると言います。何としてもお札を取らんと、周りの老若男女は目をギラギラさせてその時を待っています。

さずかった者は 病もよける コロリも逃げる

お札まき 八坂神社
現在では横浜市戸塚区に残るのみですが、この踊りは江戸時代中期には江戸や大阪で盛んに行われました。踊り手が撒いたお札を手にすると、コロリ(コレラ)にかからないという病除けの御利益があったんです。

天空に舞い散るお札を奪い合う群衆

突然の「そろそろ撒こか」の文句に群衆はざわめきました。姐さんは高々と手を挙げるとお札をうちわであおぎ飛ばします。色とりどりのお札が晴れ渡った空にひらひらと舞い上がりましたよ! みんな手を伸ばしてお札を奪い合っています。大パニック。

悲喜こもごものお札まき

お札まき 八坂神社
ゲットしたおばちゃんは「やったー!」と悦び、転んでしまった小学生男子はべそをかいています。そこのお父さん、がっかりしなくても大丈夫よ。勝負は一回ではありません。お札まきは神社でも道路でも何度でも行われるのです。

えっ、道路でも撒いちゃうの!?

お札まき 八坂神社
戸塚駅から神社まで、道路にびっしり出店があって大変な人出です。その人混みをかきわけて、所々立ち止まってはお札を撒く姐さん一行。警察官は「道路に出ないでくださーい!」と声を張り上げてますが、目の色を変えた群衆で、現場は大混乱。こんな狭い道路で無茶すぎる。

その光景はまさにゾンビ映画

お札まき 八坂神社
あれ、なんかこんな風景見たことがある──と思ったら、あれだ『ドーン・オブ・ザ・デッド』か『バイオハザード』だ。まさにゾンビ映画です。手を伸ばしてお札をつかもうと皆さん必死の形相。こ、こわい。

御札をなんとかゲットしました

お札まき 八坂神社
でも私もなんとか御札をゲット。御札は10センチ×2センチほどの色紙で5色あるみたいでした。「正一位八坂神社御守護」と書いてあります。これで無病息災になれるかな。

観客参加型のエキサイティングなお祭り

お札まき 八坂神社
この後、夜8時ごろまでこの狂乱は続きましたとさ。女装のオジサマが面白いだけでなく、観客参加型のエキサイティングなお祭りですね。あなたもぜひ御札争奪戦にチャレンジしてみてくださいな。(2006年07月14日訪問)【麻理】

参考文献

地図&情報

お札まき(おふだまき)・八坂神社

住所 :神奈川県横浜市戸塚区戸塚町4289 八坂神社
電話 :045-866-8484(戸塚区役所)
開催時期:07月14日

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