顔から面が外れなくなる「肉付きの面」。福井県の吉崎御坊・願慶寺をご紹介しましたが、実は肉付き面は別のお寺にもあるんです。そのお寺は願慶寺から徒歩5分の吉崎御坊・吉崎寺です。
どちらのお寺にも同じ伝説が
寺に伝わる伝説はどちらもほぼ同じ。憎い嫁をおどすためお婆さんが鬼女の面をかぶったものの、面が顔からとれなくなってしまうというお話。そしてどちらも本願寺の蓮如上人ゆかりのお寺として知られています。
ちなみに両者の違いですが、願慶寺は真宗大谷派（東本願寺）、吉崎寺は真宗本願寺派（西本願寺）です。
二つのホンモノの面!?
全く同時期に同じような意地悪なお婆さんが二人いたんでしょうか？ それとも……？ まあ、ヤボなことは言いっこなしってことで、両方の面を見比べて鑑賞することにいたしましょう。
博物館形式の吉崎寺
願慶寺の方は本堂でご住職の講話を聞きながら面を見るという形でしたが、こちら吉崎寺は博物館形式。館内の壁はガラスのショーケースとなっていて、伝説にまつわるお話がテープで流れています。例の肉付き面だけでなく蓮如上人ゆかりの品々も並んでいます。
センサーで御簾がオープン
面白いのが肉付き面の展示方法。普段は面の前に小さな御簾がかかっていて、前に人が立つとするすると御簾が巻き取られて面がご開帳となるんです。なんだかよく分からない演出方法ですが、隠れているからそれだけありがたみが増すのかしら。
裏側には顔の皮膚……？
吉崎寺・吉崎御坊の面の方は表面がボロボロ。ところどころ虫が喰っていて、それがよりリアル。生々しい凄みになっています。虚ろな目が狂気を帯びたおばあさんの顔そのもの。面の裏側にはお婆さんの顔の皮膚や肉がついていたそうですよ。気持ち悪い～！
吉崎寺に伝わる掛け軸
そしてこちらにも肉付き面伝説を描いた掛け軸が残っています。嫁の清（きよ）を待ち伏せして、鬼女の面でおどす姑の図。嫁を怖がらせるために深夜コスプレまでするお婆さんの実行力に脱帽。嫁いびりの方法としてエキセントリックすぎる。
夫が生きているバージョンも
前回ご紹介した言い伝えでは清の夫は亡くなっている設定でしたが、夫の与三次（よそうじ）は生きていて、夫婦共に信仰が厚かったというバージョンもあります。この掛け軸では蓮如上人の前に与三次、清、姑の三人が並んでいますね。おばあさんの顔からは面がぽろりとはずれています。
機械仕掛けの展示
ご住職の趣味なのか世界各国のお面が飾られているコーナもあります。しかもなぜだか面が出たり引っ込んだりという仕掛けがあるんです。肉付き面のセンサー付きご開帳システムといい、このお面ギミックといい、ちょっぴり珍な味がいたします。
ぜひ両方を見てみよう
出口付近にはおみやげ売り場もありますよ。肉付き面に興味を持たれた方はぜひ、吉崎寺、願慶寺両方の面を見て比べてみてくださいね。どちらも背筋がヒヤリとする迫力がありますよ。（2007年06月10日訪問）【麻理】
参考文献
地図＆情報
吉崎御坊・吉崎寺（よしざきごぼう・よしざきじ）
住所 ：福井県あわら市吉崎2-902
電話 ：0776-75-1920
時間 ：08:00～17:00
休業日：年中無休
拝観料：大人500円
駐車場：無料
関連URL：吉崎御坊 吉崎寺 | あわら市観光協会
